新NISA制度の概要:2024年制度の非課税枠と仕組み
2026-04-18
新NISA制度とは
NISA(ニーサ、Nippon Individual Savings Account)は、個人投資家向けの税制優遇制度です。通常、株式や投資信託の配当・売却益には20.315%(所得税15.315% + 住民税5%)の税金がかかりますが、NISA口座内で得た利益はこれが非課税となります。
2024年1月から、それまでの「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」を再編した新NISA制度がスタートしました。本稿では2024年以降の新制度について解説します。
新NISAの基本構造
新NISAは、以下の2つの投資枠が1つの口座に統合された形で運用されます。
つみたて投資枠
- 年間投資枠: 120万円
- 対象商品: 長期・積立・分散に適した一定の投資信託・ETF(金融庁が定めた基準を満たすもの)
- 投資方法: 原則として毎月・毎週など定期的な積立
成長投資枠
- 年間投資枠: 240万円
- 対象商品: 上場株式・投資信託・ETF・REIT(一部除外商品あり)
- 投資方法: スポット購入・積立どちらも可能
併用と年間合計
つみたて投資枠と成長投資枠は併用可能で、合計で年間最大360万円まで投資できます。
生涯投資枠
生涯にわたって投資できる元本総額の上限は1,800万円です。このうち成長投資枠は最大1,200万円までとなっています(つみたて投資枠だけで1,800万円を使い切ることは可能)。
非課税保有期間
無期限です。旧つみたてNISA(20年)・旧一般NISA(5年)と異なり、保有している限り非課税メリットが継続します。
旧NISAとの違い
| 項目 | 旧つみたてNISA | 旧一般NISA | 新NISA |
|---|---|---|---|
| 年間投資枠 | 40万円 | 120万円 | 360万円(つみたて120+成長240) |
| 非課税期間 | 20年 | 5年 | 無期限 |
| 制度の併用 | 一般と選択(併用不可) | つみたてと選択(併用不可) | 併用可能 |
| 生涯投資枠 | 実質800万円 | 実質600万円 | 1,800万円 |
| 制度の恒久化 | 時限措置 | 時限措置 | 恒久化 |
| 売却時の枠復活 | 復活しない | 復活しない | 翌年に復活 |
旧NISAで保有している資産は、新NISAとは別枠でそのまま非課税期間終了まで保有可能です。旧NISAから新NISAへの「ロールオーバー」はできないため、非課税期間終了時に課税口座へ移すか売却する必要があります。
売却時の枠の取り扱い
新NISAの大きな特徴の1つに、売却時に生涯投資枠が翌年に復活する仕組みがあります。
- 100万円の買付で100万円分の生涯枠を消費(残り1,700万円)
- 値上がりして150万円で売却 → 翌年から100万円分の枠が復活(取得価額ベース)
ただし、年間投資枠(360万円)は復活しません。同じ年に一度売却した分をその年に買い直すことはできません。
注意点
- 復活する枠は取得価額ベース(買ったときの金額)。売却額ではない
- 枠の復活は翌年1月以降
- 枠を使い切っても、翌年になれば新たな年間枠360万円が発生する
非課税運用の仕組み
NISA口座で得た以下の所得が非課税になります。
- 配当金・分配金(株式・投信・ETF・REIT)
- 譲渡益(売却益)
通常の特定口座では20.315%が源泉徴収されますが、NISA口座では0%です。
損益通算・繰越控除は不可
NISA口座での損失は、他の特定口座の利益と損益通算できません。また、繰越控除(3年間の繰越)もできません。これはNISAの数少ないデメリットとされています。例えばNISAで50万円の損失、特定口座で50万円の利益があっても、特定口座の利益50万円×20.315%=約10万円の税金はそのまま発生します。
配当金の受取方法に注意
上場株式の配当金をNISAで非課税にするには、株式数比例配分方式を選択する必要があります。「配当金領収証方式」や「登録配当金受領口座方式」では証券口座に入らないため、課税扱いになってしまうので注意が必要です。
その他の注意点
- NISA口座は1人1口座(年単位での金融機関変更は可能)
- 未成年は利用不可(旧ジュニアNISAは2023年で終了)
- 海外株式の配当にかかる現地源泉税は非課税にならない(例:米国株の配当は10%の米国源泉税が差し引かれた後、日本側で非課税)
- 外国税額控除も適用不可(特定口座と違いNISAは最初から非課税なので二重課税の調整対象にならない)
- 成長投資枠は全銘柄OKではない: 信託期間20年未満・毎月分配型・高レバレッジ型などは除外
- つみたて投資枠は対象ファンドが限定: 金融庁が長期積立分散に適したと認めた商品のみ
制度の背景
新NISAは「貯蓄から投資へ」という政策方針の下で設計されました。金融庁の資料によれば、日本の家計金融資産約2,000兆円のうち現預金比率が5割を超えている現状を変え、資産形成を後押しする狙いがあるとされています。
一方で、制度設計に対しては以下のような議論もあります。
- 富裕層にとっては1,800万円の非課税枠は大きな恩恵になるが、低所得層ほど活用しづらい
- 投資教育が不十分なまま制度だけ拡大しても、短期売買・集中投資などで損失を出す人が増える懸念
- 非課税恩恵の一方で、損益通算できないというデメリットは過小評価されがち
これらの点は中立に認識しておくとよいでしょう。
参考リンク
- [金融庁 NISA特設サイト](https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/)
- [国税庁 NISA・つみたてNISAの非課税制度](https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1535.htm)
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免責: 本記事は用語・制度の一般的な解説であり、投資助言を行うものではありません。実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。税制・制度の詳細は変更される可能性があるため、最新情報は各所管官庁の公式サイトでご確認ください。